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2011年8月21日日曜日

書評『下町ロケット』

下町ロケット

下町ロケット
価格:1,785円(税込、送料別)



池井戸潤
小学館

 本書は、私が紹介するまでもなく、いま最も売れている書籍(今年の直木賞受賞作です)かと思いますが、小説ながらビジネスや人生を大いに考えさせられる優れた一冊ですし、一度読み始めたら止まらない面白さ、何度も目頭が熱くなる感動を与えてくれる傑作ですので、ご紹介させていただきます。
 主人公は、スタッフ数200人ほどの町工場の社長。大口クライアントやメインバンクから見放され、おまけに特許違反で訴えられるという問題が続き、会社の存続の危機に直面します。そこには中小企業を見下す大企業の冷酷で悪意に満ちた戦略があるのですが、自社のスタンスを貫き、真摯にビジネスを続ける主人公を周囲が応援することによって、V字回復していくというストーリーです。

 たとえば、こんなセリフがあります。会社存続を危機にひんしているときに、巨大企業から巨額の料金で特許使用をしたいという依頼があり、それを拒否する場面です。

「知的ビジネスで儲けるのは確かに簡単だけれども、本来それはウチの仕事じゃない。ウチの特許はあくまで自分たちの製品に生かすために開発してきたはずだろう。いったん楽なほうへ行っちまったら、ばかばかしくてモノづくりなんかやってられなくなっちまう(中略)。 仕事というのはとどのつまり、カネじゃない」

 また、こんな素敵なセリフもあります。ロケットを自社製品で飛ばしたいというロマンを追いかける社長に対立して会社を辞めようとする社員に対することばです。

「俺はな、仕事っていうのは、二階建ての家みたいなもんだと思う。一階部分は、飯を食うためだ。必要な金を稼ぎ、生活していくために働く。だけど、それだけじゃあ窮屈だ。だから、仕事には夢がなきゃならないと思う。それが二階部分だ。夢だけ追っかけても飯は食っていけないし、飯だけ食えても夢がなきゃつまらない」

 私も含めて、多くの人が「ロマンとソロバンの両立」を求め、悩んでいると思います。
 そんな人たちに、勇気と仕事の意義を再確認させてくれる、秀逸な小説です。
 
 勧善懲悪的な単純さはあるものの、読み終わった瞬間、池井戸潤さんの作品をもっともっと読みたいと思いました。

 




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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない


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2011年8月12日金曜日

書評『リーダーシップでいちばん大切なこと』





『課長の教科書』などのベストセラーを持つ酒井穣さんが2011年3月に出した一冊です。
 
 ●リーダーシップの原点は、常に「自分の価値観を示す」ということ
 ●損得の価値観ではなく、善悪の価値観を示せるかどうかが、リーダーシップのカギ
 ●リーダーシップとは、孤独を受け入れ、ほかの誰でもない、自分自身の人生を誠実に生きる力

 など、リーダーシップのあるべき姿を、「価値観のピラミッド」などの理論を使用して、わかりやすく紹介しています。
 実務者であり、そして最先端のアカデミック理論をキャッチアップし続けている酒井さんの独自の論調は、説得力にあふれています。

 つい先日、ホテレスの取材で酒井さんをインタビューをしました。
 「研修の最前線」というテーマでしたが、話は「ITが作る近未来像」といった方向になりました。
 その話はまるで未来映画を見ているようでしたが、「必ずそうなるんです」というストーリーに説得力があり、実にわくわくする1時間の取材となりました。

 たとえばこんな話です。

「インターネットの本質は、距離の意味を破壊してしまう技術です。よって、まずホテルのコンファレンスルームはいらなくなるでしょう。人が動かなくていい会議需要は、間違いなく減るし、現に減っているでしょう。その時、ホテルは何ができるのか。つまり、確実にやってくる未来のために、自分たちはどこに注力していかなければならないのかを考え、そのためのイノベーションをもっと起こすような職場を作っていかなくてはならないのです」(記事はホテレスの9月9日号に掲載します)

 本書の中で、我々が覚悟しなければならない事実が紹介されています。

「これから20年以内に、同じスキルを持った人間は、日本に暮らしていようが、インドに暮らしていようが、ほとんど同じレベルの賃金を得るような社会になる」

 つまり、「一物一価の法則」というものがあり、同じ市場の、同じ商品は、同じ価格で取引されるのです。インターネットの本質が、距離の意味をなくすことであれば、世界が一つの市場になるのです。

 我々は、この意味を深く考え、どうUSPを磨き、どう生きていくかの戦略を持つべきでしょう。
 本書はそれを考える良いヒントになります。 


リーダーシップでいちばん大切なこと
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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない


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2011年7月29日金曜日

書評『ホテル王になろう 人を喜ばせる天才たち』

ホテル王になろう

ホテル王になろう
価格:1,470円(税込、送料別)



ホテル王になろう 人を喜ばせる天才たち
中谷彰宏
オータパブリケイションズ
1,470円(税込)

 本書は1997年に出版された伝説的なホテル本。
 ベルキャプテンから始まり、ドアマン、コンシェルジュ、ソムリエ、バーテンダー、シェフ、総支配人まで、23人のホテルマンをインタビューし、それぞれの仕事観、仕事内容、人生を中谷彰宏氏が紹介している。
 ホテルの仕事の魅力、奥深さ、やりがいなどを感じることができる。
 5万部を超えるロングセラーになった。

 実は、本書は、私が始めて中谷彰宏さんと作らせていただいた一冊です。

 当初、『ホテル業界就職ガイド』の企画がヒットし、次に、だれでも短時間でホテル業界の概要を把握できる本として、『3時間でわかるホテル業界』という新刊企画を立てました。それをだれに書いてもらうかを考えていたときに、私の上司は、章ごとに違う方に担当してもらって構成しようということになったのです。
 そのうちのひとりが中谷さんだったのですが、中谷さんにお願いしにいったら、「ほかの人に気を使いながら書くのは大変なので、自分ひとりでやりましょう」といっていただいたのです。
 で、一週間後に中谷さんから送られて来たファックスの企画が、この「ホテル王になろう」でした。

 本書は大ヒット。確か7回くらい増刷を重ねました。

 職人的ホテルマンが、輝きを放っていた時代の、美しい一冊です。


ホテル王になろう

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<オススメ度> ★★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない


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2011年7月19日火曜日

書評『日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人』



日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人
怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!
三輪康子/著 発売日:2011/07

 先日、神田昌典さんのメルマガに、こんなフレーズがありました。
 「お客様は、品質に文句があるときではなく、自分が大切​にされていないと感じる時に、クレームを言う」
 まさに、真理を突いた一言であり、自分がお客様を大切にしなかったことがあったかどうか、自戒する機会ともなりました。

 今回紹介する本は、この一言をさらに考えさせるものでした。

 著者は、ホテルの女性支配人です。
 それが、ただのホテルではありません。
 日本一のクレーマー地帯であり、ヤクザが横行する歌舞伎町のホテルです。
 そのホテルにおいて、どんなにすごいクレームや嫌がらせにも逃げずに対峙し、お客様からも、ヤクザさんからも愛され、スタッフからも愛されて、しかもグループホテルで日本一の売上店にした方です。
 警察からは“歌舞伎町のジャンヌ・ダルク”と呼ばれています。

 ものすごく強い方です。
 そして、心の底から、人を愛する力を持っている方。

 「相手が怒っていたら、やさしさで返すことです」

 とおっしゃっています。「クレーム対応とは、クレームにではなく、人に対応することです。まず、全力で相手の気持ちを理解することです」とおっしゃいます。「怒りの原因をすべて出し切ってもらう」。「お金で解決することは、問題の解決ではなく、問題の放棄です」。

 たった一人の一つのクレームに対してとことん付き合うことが、次のクレームをなくし、ほかの人のクレームもなくす。

 どうして、この方は、ここまで強くいられるのでしょうか。
 根底には、「人を信じる力」があり、やさしさは何よりも「強い」といいます。
 どんなにひどいことをされても、その人を憎まない強さがあります。

 そして、「人の気持ちを救う」ことができるホテルの仕事を愛しています。

 一気に読んでしまいましたが、読後、興奮と一緒に考えていることは、ひとつ。
 すぐに会いに行って、宿屋塾の講演をお願いすることです。
 
 まだ、世間的には無名の方でしょうが、間違いなく、すぐに有名になっていく方だと思います。
 その処女作である本書は、ホテル業界人には必読の一冊です。

日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人 怒鳴られたら、やさしさを一...
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<オススメ度> ★★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
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   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
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2011年7月15日金曜日

書評『リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間』



リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間
高野登
かんき出版
1,575円(税込)


 元リッツ・カールトン日本支社長の高野登さんの処女作です。
 20万部以上売れたベストセラーです。
 ホテル業界の本で、史上最も売れた本かもしれません。

 マニュアル通りの仕事はサービス。
 マニュアルを超えたところでする仕事がホスピタリティ。
 ホスピタリティとは、お客様に愛情を示すこと。

 サービスって、機械が代行できるけれど、ホスピタリティは
やっぱり「人」しかできませんよね。

 それこそ、接客業のだいご味。
 サービスを超えた瞬間こそ、この仕事のおもしろさであると
いうことを分からせてくれる一冊です。


リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間



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<オススメ度> ★★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
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   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
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2011年7月6日水曜日

書評『戦わない経営』

【送料無料】戦わない経営

【送料無料】戦わない経営
価格:1,260円(税込、送料別)




『戦わない経営』
 浜口隆則
 かんき出版
 レビューを見る(7件)

 1,260円(税込)

 本というのは基本、一人一冊しか消費しないものです。
 これが出版マーケティングの一つのキーになっているのですが、ときに私は複数冊購入することがあります。
 それは、人に上げたいとき。
 本書ほど、私は人にプレゼントしている本はありません。
 おそらく5冊は買っていると思います。
 そのくらい、素敵な本。

 言いたいことは「経営とはかかわる全ての人を幸せにする仕組み」ということです。
 「競争」ではなく「共創」
 「幸せは分け放題」
 「人生と仕事と経営と幸せはつながっている」
 など、ポエムのような感覚で珠玉のフレーズが紹介されています。

 著者の浜口さんから、本書のフレーズが書かれたポストカードをもらいました。
 その一つは、私の書斎机の前に、貼り付けて毎日見ています。

       優秀な会社でもなく
       強い会社でもなく
 
       愛される会社

 宿屋大学は、ホテル業界から愛される会社を目指しています。


戦わない経営

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<オススメ度> ★★★★★ ← 文句なく!
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
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   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない


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