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2011年12月30日金曜日

書評『幸福途上国ニッポン 新しい国に生まれかわるための提言』

【送料無料】幸福途上国ニッポン

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価格:1,050円(税込、送料別)





幸福途上国ニッポン 新しい国に生まれかわるための提言 [新書]
目崎 雅昭 (著)
¥ 1050
単行本: 264ページ
出版社: アスペクト (2011/6/24)
発売日: 2011/6/24

<概要と読みどころ>

幸福を多角的に研究した、優れた一冊です。
各国の幸福度を調査し、どんな要素が幸福度と相関があるのかをレポート。そして、日本は経済的には上位にもかかわらず幸福度は下位なのはなぜかを検証し、どうしたら幸せな国になれるかの方向性を示しています。
ほとんどのページに線を引くくらい、内容のある本でした。
以下は、線を引いたセンテンスの抜粋です。

●物質的な豊かさと幸福の関係について、一定水準(100万円)を超えると幸福度との相関が見られなくなる。
●南国に住む人たちは、北極圏に住む人たちよりも幸せなのか。結論は、幸福度と気温には相関がない。気候よりもどのような社会なのかが重要
●経済発展すると平均寿命は上昇する。平均寿命の高い国はすべてが先進国。しかし、日本は世界最高の平均寿命国であるが幸福度は低い
●貧困と自殺率には相関がない。自殺率の高い国(日本は世界5位。上位は、ベラルーシ、リトアニア、ロシア、カザフスタンなど)は、幸福度が低いだけでなく、集団主義の傾向がある
●幸福度が高い国で、出生率が低い国はない。出生率が低い国で、幸福度の高い国もない。つまり、幸福度が高いと出生率も高い
●地方自治が進んでいるところほど、住民の幸福度が高い
●外国人はどこでも幸福度が低い
●個人への寛容さ(男女平等、同性愛者の結婚、マイノリティなど)も幸福度に大きな相関がある
●集団主義、上下関係の厳しい社会、特に儒教の影響を受けた東アジアの国々の幸福度は低い(韓国の幸福度は日本より低い)
●儒教の影響を受けた市場経済の国は、すべてか急速な経済発展を果たしているが、その反面、個人の幸福度は上がっていない
●ブータンは一つの手本にはなるが、日本とは、違い過ぎている(平均寿命は66歳、識字率47%、国のサイズが小さい)ので、あまり参考にはならないだろう
●幸福な国の二つのモデル ①おきらくラテンアメリカ型 ②勤勉・合理的北西ヨーロッパ型
●ヨーロッパにも、中南米にもラテン系がいるが、前者は経済発展はしているものの幸福度は高くなく、後者は経済発展は途上だが、幸福度は高い
●北欧では、個人の選択権を大事にしている
●北欧諸国は、どんな指標を使っても上位に来る。日本と北欧諸国の違いは、寛容度である。集団主義である限りは、寛容な社会にはなりえない。協調性を強いることは、異質な個性を寛容しないと同じこと。反対意見や批判的な精神、そして人の意見を否定することが悪いとする風潮も異質な個人を寛容しないことである
●日本人は個人の主義主張、好のみよりも、常識から逸脱しないことを優先してしまう、これでは幸福にはなれない
●日本人は集団を大事にするがあまり、自らの意思をあまり反映できない人生を過ごしている
●日本人は人生を楽しむことを否定し、自国を誇りに思っていない
●集団主義の国の人は、メディアを過度に信用している
●集団の秩序を、個人の自由よりも優先するということは、個人の幸福が究極的な目的ではない社会ということである
●個性とは、こだわりを持つことであり、好き嫌いをはっきり言うことである
●個人の幸福の50%が遺伝で、残りの50%が環境で決定される
●西洋人は狩猟派民族であり、日本人は農耕は民族であるという考え方は間違っている。人類のほとんどが農耕は民族である
●「文化を守る」は、正論に聞こえるが、多くの場合、「今までそれでやってきているから、これからも同じでやる」にすぎない。「文化を守る」は、変化を拒絶する言い訳にもなり得る。文化は聖域にすべきではない

 日本人が幸せになるためには、集団主義を改め、集団の秩序のために個人が犠牲になる社会を改めるべきであり(著者は高校野球の処罰を取り上げている)、違うことや際立っている個性に寛容であるべきと述べている。

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<オススメ度> ★★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

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