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2011年6月29日水曜日

書評『ダイアローグ 対話する組織』

【送料無料】ダイアローグ対話する組織

【送料無料】ダイアローグ対話する組織
価格:1,680円(税込、送料別)



ダイアローグ対話する組織
中原淳/長岡健
ダイヤモンド社
1,680円(税込)


 今年の5月27日号「HOTERES」の特集「社内コミュニケーション3.0」を担当した時に、出合った一冊です。これからのコミュニケーションには、ディスカッションというスタンスだけではなく、ダイアローグ(対話)するというスタンスが大事であるという主張です。
http://202.164.246.106/HOTERES2011/2011/05/post_20.html


 私は、この本に出合って以来、一切ディスカッションをしなくなりました。
 ディスカッションにおいては、自分の考えはこうで、それがいかに正しいかを主張し、ときに、相手の意見を否定し、いかにそれが間違っているかを語ります。当然、対立関係になってしまう。
 ところが、このダイアローグというスタンスをとると、まず「あなたの意見を聞かせてほしい」という質問から入ります。そして、決して否定しないのです。「なるほど、そういう意見もありますね」という受け答えになる。
 ディスカッションは、いくつかある選択肢のなかから一つを選びだす(みんなで選ぶ)という作業ですが、ダイアローグは、いくつかの選択肢をさらにもんで、よりすぐれた第三の選択肢を作ったりします。

 こうすることによって、コミュニケーションはおろか、人間関係が円満になります。
 その示唆を与えてくれたのが、この東大教授が書いた『ダイアローグ 対話する組織』なのです。

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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

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2011年6月22日水曜日

書評『影響力の武器』

【送料無料】影響力の武器第2版

【送料無料】影響力の武器第2版
価格:2,940円(税込、送料別)




『影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか』
 ロバート・B.チャルディーニ/社会行動研究会
 誠信書房 2,940円(税込)


 先日、立教大学 現代心理学部小口孝司教授をインタビューしました。メンタルヘルスツーリズムをどうホテルが商品化したらいいかという記事の取材でしたが、教授の研究室の棚に、私が昔読んで大いに参考になった一冊がありました。それがこの『影響力の武器』です。
 この本はとても実践的ですよね、ということを小口教授に言うと、なんと、翻訳チームの一人として本書の編集に携わったそうです。本書は1991年に初めて日本に紹介されましたが、20年たついまでもよく売れているベストセラー&ロングセラーだそうです。

 これほど売れている本書、内容はというと、「人がどのような心理的メカニズムで動かされるのか解明」しています。ビジネスにおいて、恐いほど効果的なテクニックが得られます。心理学は、このようにして実社会に応用するのかということが気持ちよいくらい分かる一冊です。

 ●コントラストの原理・・・ギャップの大きさによって際立たせる
 ●返報性のルール・・・相手に貸しをつくるとお返しの義務を感じる
 ●コミットメントと一貫性のルール・・・自分で決めたことには、一貫した行動を取る
 ●社会的証明の原理・・・多くの人が正しいと考えていることを正しいと思ってしまう
 ●好意のルール・・・人は、好意を持っている人から頼まれるとイエスと答えてしまう
 ●権威の力・・・権威に従うことは、正しいことであると判断してしまう
 ●希少性の原理・・・手に入りにくいものは、貴重に思えてくる

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<オススメ度> ★★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

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2011年6月21日火曜日

書評『25歳からの10年で会社に負けない自分をつくる!』



『25歳からの10年で会社に負けない自分をつくる!』
 ◆価格: ¥1,500 (税込)
 ◆214 ページ

 1、第一志望でその会社に入っていない
 2、若いうちに修羅場を経験している
 3、異文化の中に放り込まれた経験をしている(海外、まったく違う
   事業をしている子会社など)

 この3つ、なんだと思うだろうか。
 実はこれ、同期でトップを走る、早期選抜される人の共通点である。
 著者の柴田励司氏は、京王プラザホテルで10年働いた後、マーサージャ
パンに転職。38歳で日本法人の代表になり、アジアパシフィック組織・
人事コンサルティング部門上級副社長という役職も兼務しているすごい人。
 本書は、この柴田氏の半生をほぼ時系列で紹介しつつ、その時々のエ
ピソード、そこから何を学んだか、人生の時々で、人は何を経験し勉強す
べきかということを語ってくれている。

 とにかく柴田氏の半生は波乱万丈である。その波乱万丈の人生を紹介
した本書には、読者の、ホテル業界人の琴線に触れるフレーズであふれて
いる。

 例えばこんな教訓。

「どんなに努力して、いいパフォーマンスをしても、世の中うまくいか
ないことがある。でも、結果としてうまく行かなかった現実と、精神的な
ダメージとは切り離すべき。要はなにか失敗をしてくよくよしても、時間
がもったいないだけである。そんなことをしている暇があったら、次のス
テージへ進もう」

 また、こんな話も・・・。

「人は人生の色々な場面で予想もしないハプニングに見舞われる。いいハ
プニングもあれば、悪いハプニングもある。でも、悪いハプニングでも、
その経験が後々大きく役に立ったり、悪いと思っていたその出来事が好循
環への転換点だったりする。思わぬハプニングに出会ったとき、ああ、な
んて不条理な・・・とか、いったい自分はどうすればいいんだとか、思い
悩むのが人の常だ。だが、悩むのはせいぜい5分か、10分でやめておいた
ほうがいい。悩んだところで、物事が好転するわけではない。自分から積
極的に動き、働きかけない限り、自体は何も進展しない。私のこれまでの
人生も、つまづいては転び、転んでは起き上がることの連続だった。しか
し、それもいま振り返ってみれば楽しいし、いい経験だったように思える」

 いつも記事の執筆や講義で大変お世話になっているが、本書を読んで、
柴田氏を惚れ直してしまった。
 内容の半分ほどはホテル時代のことであり、ぜひともホテル業界人に読
んでいただきたい一冊だ。



◆目次
 序章 それは突然の内定取り消しから始まった
 第1章 不幸をチャンスに変えるコツ
 第2章 自分モデルを探そう
 第3章 先生はどこにでもいる
 第4章 リスクをとるから成長する
 第5章 会社組織とのつき合い方
 第6章 チームってなんだろう?
 第7章 リーダーの仕事
 終章 自分の感性を信じよう

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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

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2011年6月16日木曜日

書評『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』




「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)
酒井穣 (著)
新書: 208ページ
出版社: 光文社 (2010/1/16)
777円


<概要と読みどころ>

 私は、いまだに腑に落ちていない問題を持っています。
 それは、「学校の勉強と、社会での実戦経験をどう融合させて、最高の
パフォーマンス、アウトプット、成果というものを残せる人材を育成する
のがいいのか」という問題です。

 学者の理論がどうビジネスに役立つか?
 百戦錬磨の経営者の経験や知恵ですべて事足りるのか?

 学者の理論とビジネス経験、どっちも必要でしょう。
 
 最も有効的なのは、学者の理論を実践に落とし込めるノウハウを、
問題を抱えているビジネスマンや経営者に伝えることだと思います。

 宿屋大学では基本的に、そういった理論と実践の両方を持つ講師の方々
に講義をお願いしていますが、私が実践の人間なので、どちらかというと
実務出身の講師が多いですね(ただ、いま大学教授の方々とのお付き合い
が多くなったので、今後は「大学教授シリーズ」のようなものを作っても
いいかなあと思っています)。

 前置きが長くなりましたが、ここで紹介する本の著者である酒井穣さん
は、一度、講義を拝聴しましたが、このアカデミックな知識の積み上げと
実践の双方が厚く、自身の理論を実践に落とし込んでいるたぐいまれな
逸材だと感じました。
 講義を聴いた後、立て続けに4冊ほどご著書を拝読しましたが、どれも
秀逸です。

 戦略の本、人材育成の本、中間管理職の本、リーダーシップの本など、
その守備範囲は広いです。

 今後もっともっと化ける、日本をけん引していくであろう人物だと思
います。

 本書は、人材育成の「今」が、コンパクトにまとまっています。
 人材育成にお悩みの経営者、人材開発部の方のみならず、ビジネスを
真剣にやっている方でしたら必読の一冊です。
 

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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

2011年6月15日水曜日

書評『35歳までにやめる60のこと 』




35歳までにやめる59のこと (成美文庫) (文庫) / 中谷彰宏/著


商品番号 NEOBK-960402
当店通常価格 550円 (税込)
販売価格 550円 (税込) 送料別


<概要と読みどころ>

 「やらなければならないこと」をやっていると、それで寿命は終わります。何かを「やめる」ことで、新しいことが始まる。
 これがテーマです。
 「変化する力は、やめる力」とも。

 60この「~を卒業しよう」が紹介されています。

 ●ほめてもらおうとすることを、を卒業しよう。
 ●優等生を、を卒業しよう。
 ●「断れない」を、を卒業しよう。
 ●「休みが欲しい」を、を卒業しよう。
 ●好きなことをする罪悪感を、を卒業しよう。
 ●他人の行き方に干渉することを、を卒業しよう。
 ●「なんでもやります」を、を卒業しよう。     などなど。

 さらりと読めて、奥深い。
 これぞ、中谷本の真骨頂です。

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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない




 

2011年6月14日火曜日

書評『星野リゾートの教科書 』

【送料無料】星野リゾートの教科書

【送料無料】星野リゾートの教科書
価格:1,575円(税込、送料別)




『星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則 』
 中沢 康彦 (著)

 定価:1575円
 頁数:229ページ
 出版社:日経BP出版センター
 発売日: 2010/4/15

<概要と読みどころ>

 われわれ人間の活動というのは、すべからく、インプット、スル
ープット、アウトプットの連続です。経験や本、セミナーなどで
情報を吸収し(インプット)、頭の中で整理し、知識を知恵にし
(スループット)、価値を創出する(アウトプット)。
 私は、仕事や人生の目的はアウトプットにあると思っています。
 創造して世の中に提供する価値の数量と質で、その人の人間とし
ての大きさは測れるし、見返りとしての幸せの質や量も、アウトプ
ットの総量と比例する。
 私の行動の原理原則はここにあります。

 と、朝から大上段で語ってしまいましたが、上記の話からすると、
すべてのインプットはアウトプットのためにあるということになり
ます。よって、「使わない知識は、持っていないことと同じ」なの
です。

 本書『星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則 』は、
私が大尊敬する星野社長の読書歴を開陳したものであり、その知識
をどうビジネスに役に立てたかという具体例が紹介されています。
 読んで吸収した(インプット)知識を、どうアウトプットしたか、
その事例がたくさん紹介されています。

 かつて星野社長に「本を書いてください」(オータパブリケイショ
ンズから星野社長の本を出させてください)とお願いしたことがあり
ますが、「私のやっていることはすべて先人が書いたこと(教科書)
通りの事ですから、それ以上の事はないのです」とお断りされたこと
があります。「自分のマーケティングは、コトラーのさわりの知識だ
けしか応用していません」とも・・・。

 本書に、経営と先人の知恵に対する星野社長の意見が述べられてい
ます。

「囲碁や将棋の世界に定石があるのと同じように、教科書に書かれて
いる理論は経営の定石である。何も知らないで経営するのと定石を知
って経営するのでは、おのずと正しい判断の確率に差が出る。それは
会社の長期的な業績に直結するはずだ(後略)」

 星野社長は、読む本を厳選し、教科書になりうる本は徹底的に
読み込むそうです。

 乱読になりがちな私の読書スタイルも、少し変わってきました。
 お薦めです。

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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

2011年6月13日月曜日

書評「リッツ・カールトン20の秘密(ミスティーク) 一枚のカードに込められた成功法則」




リッツ・カールトン20の秘密(ミスティーク) 一枚のカードに込められた成功法則
井上富紀子/リコ・ドゥブランク
オータパブリケイションズ
レビューを見る(8件)

1,575円(税込)


<概要>

 本書も、私がオータパブリケイションズにいるときに編集を担当した一冊です。
 瞬間的ではありますが、アマゾンで総合一位になりました。
 井上さんというホテルラバースのリッツカールトンでのミスティーク的体験を紹介し、「なぜそんなすごいことをリッツカールトンはできるのか」をリコドゥブランク総支配人が解説するという構成です。
 

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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ  

書評「ホテルの売上倍増実践テクニック100 」





<概要と読みどころ>
 私がオータパブリケイションズにいるときに、堀口さんにお願いして執筆いた
だいた一冊です。
 ホテルの売り上げが低迷する中、どうしたら売り上げを高めることができるのか、
その戦術施策を100つご紹介いただきました。
 9800円という高額ながら増刷がかかるほど売れている名著です。

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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

2011年6月10日金曜日

書評『稼働率89%リピート率70%顧客がキャンセル待ちするホテルで行われていること』




稼働率89%リピート率70%顧客がキャンセル待ちするホテルで
行われていること 
スーパーホテルが目指す「一円あたりの顧客満足日本一」とは?
峰如之介 ダイヤモンド社
980円(税込)

<概要と読みどころ>

「1泊4980円」という驚きの価格でビジネスホテル業界に登場したスーパーホテル。デフレの申し子として急成長を遂げ、稼働率89%、リピート率70%という数字を支えるビジネスホテル流顧客満足の仕組みを紹介しています。

 このなかで、スーパーホテルの山本会長(私・近藤寛和も一度インタビューさせていただきまして、一気にファンになってしまった経営者です)は、「これからのホテルは、労働効率をITによって高めていくことが大事」と言っています。また、次のコメントは、シティホテルの方々には、熟考いただきたいポイントです。

「シティホテルはピーク時のことを考えてヒト・モノ・カネを投入するので、高コストになってしまう。我々の発想は逆で、一番閑散としているときに合わせている。忙しくなったらIT化やセルフサービス化で対応するという考えです」

 ただし、省力化ばかりに力点を置いているのではなく、しっかり人的サービスも研究しているところがこのホテルにリピーターがつく理由なのだと思います。

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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

2011年6月7日火曜日

『和魂米才のホテルマネジメント 』

【送料無料】和魂米才のホテルマネジメント

【送料無料】和魂米才のホテルマネジメント
価格:1,575円(税込、送料別)




『和魂米才のホテルマネジメント
            ~ グロ-バルスタンダ-ドの成功法則』

近藤寛和
オータパブリケイションズ
1,575円(税込)


「ホテル運営に、特別な能力やとび抜けた努力なんていらない。
当たり前のことを当たり前に一つずつ根気よく続けていくだけで
いいんです。残念ながらその当たり前のこと、つまりいまやグロ
ーバル・スタンダードになっているホテルマネジメント手法が日
本にはまだ浸透していないし実践されていない。私はそれを伝え
たい」シェフ、そしてホテリエとしてアメリカで成功し、日本で
ホテルマネジメントの変革に奔走している飯島幸親は、いま横浜
ベイシェラトンホテル&タワーズでホテル運営のグローバル・ス
タンダードを落とし込み、世界と張り合えるリーダー、ホテリエ
の育成に邁進している。本書は、日本とアメリカ双方の長所を理
解している飯島が同ホテルに導入している数々のホテルマネジメ
ント手法をドキュメンタリータッチで紹介するノンフィクション
であり、ホテル運営の教科書である。

書評『社長が知らない 秘密の仕組み』

【送料無料】社長が知らない秘密の仕組み

【送料無料】社長が知らない秘密の仕組み
価格:1,470円(税込、送料別)



『社長が知らない 秘密の仕組み
  業種・商品関係なし! 絶対に結果が出る「黄金の法則」』 橋本 陽輔 著

 定価:1,470円
 単行本:157ページ
 出版社:ビジネス社
 発売日:2008/10/22

<概要と読みどころ>

 まず、当たり前のお話ですが、お客さまには、二種類あります。
 新規客とリピート客の二つです。
 商売の要諦は、新規客を増やす努力と、リピート客を守る努力の
二つを同時にやることです(ホテルの場合は、新規客を増やすのは、
営業・マーケティング部の仕事であり、リピートしていただく努力
は、現場のサービス力にかかっているといえるかもしれませんね)。
 商売の常識として、新規客の獲得は、非常に手間隙コストがかかり、
一度利用いただいたお客さまに再利用していただく手間隙コストは、
その何分の一かですみます。

 本書は、「リピート客を守る」というテーマについて、徹底的に
研究し、実践的な施策を紹介している画期的な一冊です。
「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論」というものにまとめて
います。

 年商500億円の優良企業である「やずや」も、一時期経営の危機に
直面したことがあり、そのときに編み出した理論がこの理論であり、
その結果、同社をV字回復させたそうです。

 まず、この理論では顧客を5つに分けています。

 1   初回客(新規のお客様)
 2   よちよち客(二回目利用のお客様)
 3・4 流行客/コツコツ客(利用金額によってこの二つに分類)
 5   優良客(ファンのお客様)

 顧客はこの流れで成長します。そして、各段階でアプローチの方法
が異なり、それぞれに適したアプローチの方法が紹介されています。
 
 この「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論」の優れた点は、それ
ぞれのお客様がどの階層なのかを計算式によって明確化し、マトリック
スにして可視化できる点です。そのマトリックスを見れば経営状況も
一目瞭然となるわけです。
 
 不況下、コストをなるべく使わずに数字を上げるためには、既存客
を守ることが最良の方策かと思います。これまで怠っていた、既存客
への取り組み、本書で研究して行なってみてはいかがでしょうか。

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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
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書評『仕事の哲学 (ドラッカー名言集) 』

【送料無料】仕事の哲学

【送料無料】仕事の哲学
価格:1,470円(税込、送料別)



『仕事の哲学 (ドラッカー名言集) 』
          P・F・ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)

 定価:1,470円
 単行本:221ページ
 出版社:ダイヤモンド社
 発売日:2003/8/1

<概要と読みどころ>

 ドラッカーというと、難解な文章で、とっつきづらいという印象
があって、名著と分かっていて読まなければならないという思いは
あっても、読めていない人は、多いのではないでしょうか。

 本書は、そうした人(私も含め)にとっては、非常にありがたい存在
です。あまたあるドラッカーの著書の中から珠玉の名文が厳選されて
紹介されています。
 つまり、ドラッカー金言集、ダイジェスト版といった存在です。
 この『仕事の哲学』以外にも、『経営の哲学』『変革の哲学』『歴史の
哲学』といったシリーズがあります。

 では、珠玉の名言をいくつか紹介しましょう。

●自らの強みに集中せよ

 不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。
 自らの強みに集中すべきである。無能を並みの水準にするには、
 一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする。

●自分を使って何をしたいか

 選択肢を前にした若者が答えるべき問題は、正確には、何をしたらよいか
 ではなく、自分を使って何をしたいかである。

●関係についての責任

 組織は、もはや権力によっては成立しない。信頼によって成立する。
 信頼とは好き嫌いではない。信じ合うことである。そのためには、互いに
 理解しなければならない。互いの関係について、互いに責任を持たなけれ
 ばならない。それは義務である。

●必要のない仕事はただちにやめる

 する必要のまったくない仕事、時間の浪費である仕事を見つけ、
 捨てなければならない。すべての仕事について、まったくしなかったならば
 何が起こるかを考えればよい。何も起こらないが答えであるならば、
 その仕事はただちにやめるべきである。
 
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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
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書評『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』



『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えている
      たったひとつのこと』  マーカス バッキンガム (著)

 定価:1,995円
 単行本:315ページ
 出版社: 日本経済新聞社
 発売日:2006/01

<概要と読みどころ>

 現在、『最高の成果を生み出す 6つのステップ』という本を読んでいます。
 強みを最大限に発揮するためにはどうしたらいいかという内容ですが、翻
訳が分かりづらいのか、引き込まれるまでに時間がかかっております。
 なぜ本書を買ったかと言うと、2006年の一年間に私が読んだビジネス書の中
で最も影響を受けたのがこの著者であるマーカス バッキンガム氏が書いた
『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』だっ
たからです。
 内容は、リーダーが考えるべきたった1つのことは「よりよい未来に向けて人
々を一致団結させる」こと。一方のマネジャーが考えるべきたった1つのことは
「部下一人ひとりの特色を発見し、それを有効に活用する」こと。チェスをする
ように、部下一人ひとりの個性の違いに注目し、彼らを成功に導く・・・。
 ということを紹介していますが、それ以外にも多くの示唆に富む教えがありま
した。

●個人の成功の秘訣は、自分がしたくないことを見つけ出し、それをやめる。
●自らの強みを自覚し、その強みを強くすることをとことん追求すること。
●マネージャーのスキルとしては、
  1)きちんと人を選ぶこと
  2)期待する仕事の内容をはっきり示すこと
  3)褒めることと認めること
  4)部下に気遣いを示すこと
●個人としてもチームの一員としても、もっとも貢献できるのは役割と強みが
 一致したときであり、そうなるように環境を整えるのはあなたの義務だ

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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
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書評『幸福の方程式 新しい消費のカタチを探る』

【送料無料】幸福の方程式

【送料無料】幸福の方程式
価格:1,050円(税込、送料別)




『幸福の方程式 新しい消費のカタチを探る』
          山田昌弘 + 電通チームハピネス (著)

 定価:1,000 円
 単行本:240ページ
 出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
 発売日:2009/9/10

<概要と読みどころ>

 幸せになりたくない、なんて思う人はいないでしょう。
 仕事をする、人に喜んでもらう、欲しいものを買う、映画を見る、
勉強して知識を増やす、人を愛し人から愛される、新しい経験をして
自分の幅を広げる、などなど、自分自身の行動や考えを思い返しても、
すべては幸せや幸福感を求めてやっていることのようです。
 人間だれしも、自分や家族の幸せのカタチを無意識に考え、
それを無意識に追い求めているのです(で、そのカタチや手法が
それぞれ違うから、世の中、面白いのですね)。

 私たちが物をお金で買うのは、すべて幸せになりたいから。
 その商品やサービスが、幸福をもたらしてくれると予測するから。
 よって、売る側は「幸せのカタチ」を物語(ストーリー)として
示してあげればいいのです。
 つまり、「幸せをもたらしてくれる消費 = 幸福」なのです。
 ただ、ここにきて、この方程式が崩れてきた。
 お金を使うこと、モノで満たされることだけが幸せのカタチでは
なくなってきている。
 だから、幸福そのものの検討、新しい幸せのカタチを考えるべき。

 これが、本書の主旨です。

 そして、新しい消費のカタチを、仮説として3つ提示しています。

 1、自分を極めるという物語(内的)
 2、社会に貢献するという物語(社会とのかかわり)
 3、他者とつながっているという物語(つながり)

 これらの物語をつくることをサポートするのが消費なのです。
 
 私は、本書の要約をノートにまとめたいと考えています。
 それほど、じっくり理解する意味のある本です。

 忙しい毎日を送っていると思いますが、ときには一歩立ち止まって、
自分自身の幸せ、お客さまの幸せ(自分のサービスが、どうお客さま
の幸せや喜びにつながっているのか)を、じっくり考えてみてはいか
がでしょうか。

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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
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書評『コンセプトライフ』

【送料無料】コンセプトライフ

【送料無料】コンセプトライフ
価格:1,365円(税込、送料別)




『コンセプトライフ』柴田陽子 著

 定価:1,365円
 単行本:232ページ
 出版社:サンクチュアリパプリッシング
 発売日:2009/4/24

<概要と読みどころ>

 4年前の6月の宿屋塾の講義を柴田陽子さんにお願いしたことが
ありました。そのときに柴田さんが語ったターゲティングに関する
分かりやすい説明をいまでも覚えています。それはこういう説明で
した。

「来てほしい人の順番をつけるといいんです。そして一番には、150%、
 二番には120%、三番には90%満足していただけるものを提供して
 いけばいい。そうすれば芯がずれない」

 私どももセミナーなどの商品を日々作っていますが、当然、企画書
には「ターゲット(買ってほしい相手)」という項目があります。
柴田さんの講義を聞いた後、私は必ず、1メイン、2サブ、3その次
という3つのターゲットを明記し、メインターゲットには150%よろ
こばれる商品作りをするようになりました。

 今回紹介する『コンセプトライフ』は、その柴田さんが出された著作
ですが、これを読むと、そのメインターゲットは、たった一人の人となり、
ライフスタイルまでも明確に設定しなければならないことが分かります。

 例えば、柴田さんが企画から立ち上げた「レインボー・ロール・スシ」
のターゲットはアレックスという実在する友人だったそうです。アメリカン
チャイニーズ、西麻布に住み、パリッとしたスーツにリュックを背負って
自転車で外資系企業に通う。そんな彼が、仕事が終わってから男友達2人
と食事を楽しむ・・、しかも西麻布に住んでいるのでいったんは家に帰って
荷物を置いて、Tシャツと短パンでやってくる・・・、そんな人に来てほしい
レストラン。

 コンセプト、ターゲット、キャッチコピー、どれもが一本のストーリーで
つながっていて無理なく展開している。こんな企画であってほしい。

 駄目なホテルは、「コンセプト表現に統一性がなくて違和感がある。
おしゃれかと思えばビニールのスリッパが置いてあったり・・・・」。

 本書は、柴田さんのこれまでの歩みを、素直に語られていて、その
ストーリーを通して読者は、「コンセプトメイクって面白い」「企画って
実はこんなに簡単」と感じられる一冊です。
 
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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『「幸せな小金持ち」になるための8つのステップ』




『「幸せな小金持ち」になるための8つのステップ
     ~人生の”宝探しの地図”がここにある~』 本田 健 著

 定価:1,000円
 単行本:232ページ
 出版社:ゴマブックス
 発売日:2002/4/20

<概要と読みどころ>

 ずっと前に発売された本ですが、私の人生に影響を与えてくれた
本田健さんのご著書のひとつなので、紹介したいと思います。
 本田健さんといえば『ユダヤ人大富豪の教え』が有名ですが、本書
は、それより前に発売された大ベストセラー。
単なる金持ちという成功者ではなく、「自分の大好きなことをやり
続け、気がついたら金持ちになっていた」という成功パターンを紹介
している。

 8つのステップは、次の通り。
 
 1、自分の大好きなことを見つけ、それを仕事にする
 2、社会の仕組み、時代の流れを知る
 3、お金のIQを高める
 4、お金のEQを高める
 5、ビジネスのあらゆる面をマスターする
 6、好きなことのまわりに儲かる仕組みをつくる
 7、人間の心理を学ぶ
 8、自分の才能、豊かさを分かち合う

 私にとっての金言は、下記。

 「幸せな小金持ちたちは、豊かだから分かち合っているのではなく、
  分かち合ってきたから、豊かになってきた」

 つまり、「人は、与えれば与えるほど、与えられる」のですね。
 与えること、分かち合うこと、どんどんやっていきたいものです。
 
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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『小さな会社のブランド戦略』

【送料無料】小さな会社のブランド戦略

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価格:1,260円(税込、送料別)



『小さな会社のブランド戦略
 ~「生き方」と「働き方」が一致するビジネスモデル』村尾 隆介 著

定価:1,260円
単行本:186ページ
出版社:PHP研究所
発売日:2008/12/10

<概要と読みどころ>

 先日私が参加したあるマーケティングのセミナーで、そのときの講師
の方が、次のことをおっしゃいました。

「顧客には3つのタイプがあります。1、感情的に企業と結びついてい
る顧客。2、惰性でつながっている顧客。3、理性的に結びついている
顧客です。3の顧客は条件や便益性を評価している方々で、この方々は、
上回る条件や便益性を他社が提示したらすぐに浮気をしてしまう。企業
の体質を強化する最も大事な顧客は1の感情で結びついている顧客です」

 つまり、ファンを作ることです。商品やサービスが好きなのではなく、
その会社自体を好きな顧客をどれだけ作るかが大切なのですね。これこ
そがブランド作りといえます。
 また、こうしたファン顧客は、「少しぐらい値段が高くても、喜んで
支払ってくれる」顧客です。よって、訴求は「値段を下げるのではなく、
価値を上げる」という戦略をとれるのです。

 本書『小さな会社のブランド戦略』の著者はこう訴えます。
「ブランドをつくるのには、なにもロゴや印刷物をおしゃれにすること
ではなく、あなたのビジネスに関わるすべての人が、アナタの会社のファ
ンになるような研ぎ澄まされた経営をすることです」
 そういう会社は、経営者やスタッフの「生き方」や「働き方」が一致
するようなビジネスモデルを作ったということで、そこで働く人、関わ
る人すべてが、やりがいや手ごたえを感じながら仕事をしている、と。

 経営者の哲学、志、マインドといったものがまずあって、それに賛同
してくれるスタッフや株主、お客様が集う。それがビジネスの成功なの
ですね。だから、「経営者の哲学、志、マインド」の強さと発信量と、
ビジネスの強さは比例する。つまりは、これがブランドということなの
だと思います。
 
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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『目に見えない資本主義』

【送料無料】目に見えない資本主義

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価格:1,680円(税込、送料別)




『目に見えない資本主義』 田坂 広志(著)

 定価:1,680 円
 単行本:224ページ
 出版社: 東洋経済新報社
 発売日:2009/7/24

<概要と読みどころ>

 昨年起こった金融ショックは、米国型資本主義の欠陥が露呈された
事件でした。ネットの普及によって世界に境目がなくなり、グローバル
社会が加速した。お金がお金を作るキャピタルゲインに疑問を持ちつつも、
米国型資本主義が世界のスタンダードであると日本経済も認め、追随した。
その結果、日本経済も大打撃を受けました。
 では、米国型資本主義の次に来る資本主義の形とは、どういう形なの
でしょうか。
 そんな疑問に答えてくれるのが本書です。

 本書の大筋は、次の「五つのパラダイム転換」の紹介になっています。

(1)「操作主義経済」から「複雑系経済」へ
(2)「知識経済」から「共感経済」へ
(3)「貨幣経済」から「自発経済」へ
(4)「享受型経済」から「参加型経済」へ
(5)「無限成長経済」から「地球環境経済」へ

 そして、これらのパラダイム転換の結果、これから、「目に見えない価値」
を重視する成熟した資本主義が生まれてくる。それが「目に見えない資本主義」
なのです。
 で、勇気を与えてくれるのが、日本は元来このような目に見えない価値を重視
しているという点です。
 
 田坂広志氏は、独特の語り口でいつも一歩先を教えてくれる予見者です。
 私は、10年前に発刊された氏の『ネット革命 これから日本市場で何が
起こるのか―ニューミドルマンが資本主義市場を進化させる』という名著
と出会ってから氏の著作を愛読していますが、その中でも『目に見えない
資本主義』は、「日本人にこれからの生き方、経済のあり方を伝えたい」と
いう氏の熱い思いがこめられているようです。

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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『創造と変革の志士たちへ』

『創造と変革の志士たちへ』 堀 義人 著

 定価:1,575円
 単行本:222ページ
 出版社:PHP研究所
 発売日:2009/3/7

<概要と読みどころ>

 グロービスというビジネススクールをご存知でしょうか?
 アメリカに行かなくてもMBAと同じレベルのビジネスの勉強ができる
ビジネススクールで、この本の著者である堀義人氏が、ハーバード
大学でMBAを取得して帰国してから立ち上げた日本でトップクラスの
学校です。
 私どもで運営している宿屋大学「ホテルマネジメント入門講座」を
始めるに当たり、私もこのグロービスをけっこう参考にさせていただき
ました。
 本書は、この堀氏のグロービス運営の思い、経営者として、創造と変革
のリーダーとしての心構えと必要なことを紹介した一冊です。

 創造と変革の志士とは、頭脳を武器に人的ネットワークを駆使して
志を成し遂げるリーダーであり、強い使命感で「この世に生まれて何を
するのか」を考え続ける姿勢を持った人を指す。

 ハーバード・ビジネス・スクールで教わった3つという話が面白い。

1、定石・・・経営の知識やフレームワーク(理論)で、先人たちが長い
       歴史の中でうまくいくパターンと失敗するパターンを分類
       し、その共通項を抽出して体系化したもの

2、本質を見極める方法
    ・・・長期的・俯瞰的・多面的・統合的に物事を捉える力。

3、効果的に伝える力
    ・・・自分の思いを正確にチームに伝える。プレゼンテーション
       力。人を動かすということ。

 こうしたビジネスで不可欠なスキルを、きちんと体得しているか、そう
でないかでは、やっぱり、雲泥の差になってくるのでしょう。

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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『V字回復の経営―2年で会社を変えられますか』 (文庫)

【送料無料】V字回復の経営

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価格:840円(税込、送料別)




『V字回復の経営―2年で会社を変えられますか』 (文庫)
                       三枝 匡(著)

 定価:840円
 単行本:458ページ
 出版社: 日経ビジネス人文庫
 発売日:2006/04

<概要と読みどころ>

 古くてなまってしまった組織を、健全な体質に変えて、活力ある
組織に変革する。その仕事は、組織が大きければ大きいほど大変な
仕事であるし、根っこが深ければ深いほど難しい仕事になる。
 私は、2006年夏から2007年冬にかけての半年間、横浜ベイシェラ
トンホテル&タワーズに入り浸り、何十人ものキーパーソンに会って
取材を重ね、その変革の模様を『和魂米才のホテルマネジメント ~
グローバルスタンダードの成功法則』という一冊にまとめたが、そこ
には、主人公である飯島幸親氏をはじめとした変革タスクチームの並々
ならぬ情熱と努力と智恵があり、見事に数値目標を達成、顧客満足と
従業員満足も同時に向上させた。

 今回紹介する『V字回復の経営―2年で会社を変えられますか』も、
まさに組織変革のドキュメンタリーである。ある巨大なメーカー企業の
一事業部が変革していくさまを綴っている。著者である三枝 匡が
関わったいくつかの企業の変革をまぜこぜにして作ったストーリー
である。よって、紹介されているストーリーやエピソード、セリフなど
はすべて実際にあったものだそうだ。

 変革のプロセス(1、成り行きのシナリオを描く 2、切迫感を抱く
3、原因を分析する 4、変革のシナリオを作る 5、戦略の意思決定
をする 6、現場へ落とし込む 7、変革を実行する 8、成果を認知
する)を、一つ一つ紹介しているが、あたかも変革にはセオリーがある
かのようなイメージを抱かせてくれる。
 そして、問題を持った組織に共通する症状が50、変革成功のための
要諦50紹介されていて、どれもが貴重なメッセージになっている。

 久しぶりに時間をかけて、重要点にアンダーラインをひきまくって
読んでいる。骨太の経営書である。


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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『全脳思考』

【送料無料】全脳思考

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価格:2,100円(税込、送料別)



『全脳思考』  神田 昌典 (著)

 定価:2,100円
 単行本:480ページ
 出版社:ダイヤモンド社
 発売日:2009/6/12

<概要と読みどころ>

 私の仕事観に多大な影響を与えてくれた神田昌典さんが7年ぶりに
出したビジネス書。
 本書を読むと、たった一枚のシンプルなチャートでアイデアをまとめ
る能力がつくという。
 480ページもの超大作にもかかわらず、文字組みのうまさ、平易な
文章によってサクサク読める。

 私の目からウロコが落ちた部分は下記。

 「比較検索されるようでは優良ビジネスとはいえない」

 検索には二つあり、ひとつが「比較検索」であり、もうひとつが「指名
検索」。比較検索とは、消費者がなんらかの商品に興味を持ったときに、
そのカテゴリー名で検索をかける検索のこと。
 一方の使命検索とは、「会社名」「商品名」でする検索の仕方。
 で、優良ビジネス(営業活動をしなくても注目されて売れまくるビジネス)
は、みな指名検索をされるという。例えば、「キッザニア」、「東京マラソ
ン」、「iphone」などなど。

 こういう優良ビジネスの共通点は、3つ。

 1、問いとしてもネーミング(TITLE)
 2、物語の扉を開けるタグライン(TAGLINE)
 3、答えとしてのストーリー(STORY)

 そして、単なる金儲けではなく、その企業の持つストーリー、社会に
対する姿勢に共感する人がファンになっていく。

 そういえば、本書の登場を知った私は、本書のタイトルで指名検索を
して購入した。アナタの価値観を変える一冊です。

 
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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『次世代マーケティングプラットフォーム』




『次世代マーケティングプラットフォーム
   ~広告とマスメディアの地位を奪うもの』 湯川 鶴章 著

定価:1,680円
単行本: 216ページ
出版社: ソフトバンククリエイティブ (2008/9/27)
発売日: 2008/9/27

<概要と読みどころ>

 本書は、メディアや広告、マーケティング、引いては企業活動
や世の中の近未来を予見する上で、非常に有意義な一冊です。

 なにが書いてあるか。簡単に言うとこういうことです。
 
 ITによって、人々は、必要な情報が簡単に、しかもほとんど
無料で手に入る時代になりつつあり、この利便性はますます加速
しています。で、この流れはの牽引役は、テクノロジーの進歩で
す。だから、テクノロジーの進化に一番注目しておかなければな
らない。
 著者は言います。
「テクノロジー(=IT革命)の本質のひとつは、20世紀後半の
マス文化の中で失われたきめ細かなサービスを、テクノロジーの
力によって取り戻すことだ」と。
 簡単に言うと、「三河屋さん的なサービス」をテクノロジーに
よって行なえるということです。三河屋さんとは漫画「サザエさ
ん」に登場する酒屋のこと。三河屋さんは、磯野家の家族構成を
把握しているし、家族一人ひとりのこともよく知っている。台所
には酒や醤油があとどのくらい残っているかも大体はめどがつい
ている。よって、必要なものを必要なときに適正価格で届けてく
れる。どんなに競合の大手がテレビCMを流そうともサザエさん
は見向きもしないだろう・・・。
 このワントゥワンマーケティングを、近未来はテクノロジーが
実現してくれると予見しています(アマゾンなんて、まさにそれ
に近いですね)。そして、ネット、リアルを問わず、あらゆるも
のがカスタマイズされていく。
 その実例を紹介し、広告の役割やメディアの役割はどう変わっ
ていくか、世の中はどうなっていくかを伝えています。

 マーケティング担当者のみならず、新しモノ好きな方にはとっ
ても興味深い一冊です。

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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『小説 上杉鷹山』

【送料無料】小説上杉鷹山(上)

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価格:693円(税込、送料別)




『小説 上杉鷹山』 童門冬二 /著

 952円+税
 文庫: 684ページ
 出版社: 集英社 (1996/12)

<概要と読みどころ>

 アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディ、ビル・クリントンが、
日本人の政治家の中で一番尊敬している人物として上げる歴史上の
人物、それが上杉鷹山(うえすぎようざん)です。
 日本史の知識が著しく弱い私は、昨年末、複数回この人物の名前
を続けて聞くまで、ほとんど知らなかった人物なのですが、立て続け
に同じ人の名前を耳にし、運命を感じ(?)、早速伝記を買って年末
年始の休みに読んでみたのでした。
 
 上杉家は上杉謙信を祖先に持つ名家。鷹山は、日向国高鍋藩から養
子として送られ、わずか17歳のときに藩主になりました。しかし、そ
のときの米沢藩の財政は最悪で、廃藩寸前だったそうです。
 小説のストーリーは、新藩主に就任した鷹山が、藩の中で異端扱い
されている家来を抜擢し、家老として胡坐をかき、偉ぶっているだけ
でちっとも仕事をしない重役連中と対立しながらも、率先垂範で徹底
的な倹約を行ない、土を耕し、産業を興し、学校を作って未来の人材
を育成し、民政事業を行っていき、みるみる豊かな藩に変革していく
模様を描いています。
 鷹山の行なった変革の方法ですが、今の企業経営にも相当使える方
法ばかりなのです。
 例えば変革のスタート時、まず、藩主として何がやりたいのかを藩
全体に告げるのです(つまり、ヴィジョンを明確にして組織に浸透さ
せる)。次に、何ができるか、どこまでできるかを率直に伝え(つま
り、ガラス張りにする)、最後に、手をついて、藩士全員に協力を仰
ぎ、自分お足らないところをみんなで補って欲しいと頼むのです。
 ビジネスや組織の変革にはよく「清濁併せ持つ」ということを言い
ますが、鷹山は、その「濁」の部分、つまり汚い手は一切使わず、清
い政治を貫いて改革を進めていくのですが、徐々にその姿勢が藩士そ
して藩全体にいきわたり、意識が変わっていく・・・、この様子が様
々なエピソードで語られていく部分は、感動ものです。
 例えば、藩校を作る際、財政難で資金がないところ藩士や民衆が家
宝を質に入れてお金を作り寄付をするのです。また、鷹山以前は、
「民は、搾れば搾るだけ油が摂れる菜種のようなもの」という考えで
死なぬように生きぬように扱っていたところを、「民は国の宝」とし
て領民を人間として尊び、民のための藩政を行なった。そうやって変
革の火種が藩全体に広がっていく・・。老人や女、子供、身体の不自
由な人などをいたわるようにという教えを広め、そのような気風が人
々に伝播していく。変革とは意識を変えること、自分自身を変えるこ
とということを具現化していったのです。
 感動しつつ、リーダーとはこうあるべきという勉強になる一冊です。

鷹山は、有名な言葉を残しています。
それがこれです。

   「なせばなる なさねば成らぬ 何事も
                成らぬは人の なさぬなりけり」

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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─ 』

【送料無料】勝間式「利益の方程式」

【送料無料】勝間式「利益の方程式」
価格:1,575円(税込、送料別)




『勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─ 』

  勝間和代/著
  単行本(ソフトカバー): 278ページ
  出版社: 東洋経済新報社 (2008/4/4)
  ISBN-10: 4492556060
  ISBN-13: 978-4492556061
  発売日: 2008/4/4


<概要と読みどころ>
 
 本書は、私(近藤)が昨年一年間に出遭ったビジネス書でもっとも秀逸と
感じた一冊です。

 ビジネスは利益を出して何ぼのものですね。
 本書は、この利益を出すための方程式を紹介し、その一つ一つの要素
を分析し、最大限の利益を出す方法を伝えています。

 勝間さんの、その方程式とは・・・・

 利益=(顧客単価-顧客獲得コスト-顧客原価)×顧客数

 つまり、利益を最大にするためには、

 1.顧客が支払う単価を高め、
 2.顧客を獲得するためのコストを抑え、
 3.原価を抑え、
 4.顧客数を増やす             ことですね。

この式の4つの要素
 1.顧客が支払う単価
 2.顧客獲得コスト
 3.顧客原価
 4.顧客数     を4つの変数として解説しています。

 とってもシンプルな文章ですし、ビジネスを構成する数字を整理するのに
ぴったりです。
 

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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

書評『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』




『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』 佐藤可士和・著

 定価:1575円
 頁数:192ページ
 出版社:日本経済新聞出版社
 発売日: 2010/6/26

<概要と読みどころ>

 私は以前に『佐藤可士和の超整理術』を読み、さまざま気づきを得、
それ以来、佐藤可士和さんのファンになったのですが、その第二弾が本
書です。
 前作は、絡んだ糸をほどくがごとく事象や考えを整理し、本質に迫り、
ある視点を導入することによって問題を解決し、あるべき姿を浮かび上
がらせる。このアートディレクター佐藤可士和流の整理術(問題解決力)
を紹介した素晴らしい一冊でした。
 今度の新刊は、整理や問題解決に留まらず、佐藤可士和さんの創造的
思考法を紹介したものです。
 冒頭で、「既成概念、前提を疑う」ことを提唱」しています。
 前提を疑うことで物事は変化、進化します。既成概念を疑ってきた
積み重ねがアートの歴史だと(その意味では、ホテルの現場において
新人が「これはなぜ、このようなやり方をするのですか?」とか、「こう
いうやり方の方が効率が上がると思います」といった提案をすると、
「そんなこと考えてないで、黙って体を動かせ!」と叱責することがよく
ありますが、その発言こそ、ホテル業界の発展を阻害している大きな要因
だと思いますが、いかがでしょうか)。
 その他、「迷ったら書き出してみる」、「プレゼンテーションは説得では
なく、共感を得る場」、「ばらばらなコンテンツは、コンテクスト(文脈)
を作ることによって分かりやすいストーリーにする」、「コンセプトの軸を
ブラさないことで強いチームを作る」といった仕事術を多数紹介しています。
 また、その仕事術の使い方、落とし込みの方法を、生み出されたプロダク
トやブランディングの事例を紹介することによって解説していますので、実
践的でもあります(『星野リゾートの教科書』では、星野社長が愛読してい
るビジネス書の知恵をいかに変革に使ったかの事例ですが、本書は、佐藤可
士和さんの創造的思考術の活用事例を紹介しているのですね)。
 自分のホテルは、伝統や古くからの仕来たり重視のために頭が硬直してい
るとお感じの方も多いかと思いますが、ぜひクリエイティブ思考法を取り入
れて、変革や進化を進めてみてはいかがでしょうか。

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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

書評『「1回きりのお客様」を「100回客」に育てなさい! 』




『「1回きりのお客様」を「100回客」に育てなさい! 』
 高田 靖久 (著)

 定価:1470円
 頁数:200ページ
 出版社:同文館出版
 発売日: 2009/3/5

<概要と読みどころ>
 売り上げを高めるための関数は二つあります。
 「単価」と「数量」です。この掛け算で売上高は決まります。
 そして、数量(お客さまの数)には二種類あります。
 「新規客」と「リピーター」です。
 ですので、ビジネス戦略には、基本的には、「単価」をアップさせる
施策、「新規客」を増やす施策、そして「リピート」してもらう施策の
3つの視点があります。
 今回紹介するビジネス書は、「リピートしてもらう」ための具体的な
テクニック、固定客を増やすことにフォーカスされて紹介されています。

 著者は調査データをもとに、「一回きりのお客さまの割合はほとんどの
店で6~7割いる」といいます。そして、その6~7割のお客さまの割合
を少しでも少なくするだけで売り上げは上がり始める。
 また、別の調査結果として、3カ月間の間に「一回しか利用しないお客
さま」と3回以上利用したお客さまを比較すると、後者の方が7倍固定客
になるといいます。
 つまり、ビジネスの要諦は、利用いただいたお客さまに「その日から数
えて三カ月間以内に三回利用してもらうこと」。

「あなたの商品やサービスに興味のある人を見分けるのは簡単。一回でも
 利用した人ということ。そういう人は、0回の人に比べると5~16倍、
 商売がしやすい」
 著者はこんなことを言っていますが、おっしゃるとおり。見込み客リスト
はどんなビジネスでも欲しいものですが、それは身近な所にあるのです。
 そのために、3回レターを出しましょうと提唱しています。

 本書の構成としては、最初に顧客の固定化の話があり、新規客獲得の
話は後半にあります。新規客獲得施策は、「あなたの店を選ばなければな
らない理由」を訴え、売り込む対象・商品を絞り込み、商品ではなく人
を売ることを紹介していますが、穴のあいたバケツに水を入れても水はち
っとも溜まらないのと一緒で、どんなに新規客が集まっても固定化しなけ
ればビジネスは続かないので、固定化施策を万全にする方が大事と述べて
います。

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<オススメ度> ★★★☆
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

書評『欲しがらない若者たち』

【送料無料】欲しがらない若者たち

【送料無料】欲しがらない若者たち
価格:893円(税込、送料別)





『欲しがらない若者たち』 山岡拓(著)

 定価:893円
 単行本:224ページ
 出版社: 日本経済新聞出版社
 発売日:2009/12/9

<概要と読みどころ>

 ホテル業界を志望する学生の就職活動サポートをかれこれ15年ほど
続けています。毎年、必死にシュウカツに励む若者にアドバイスをし
たり、くじけそうなところを励ましたりしているのですが、昨年の学
生さんあたりから、ちょっと違和感をいだくようになりました。
 必死さが足りない、がつがつしない、競争しない、すぐにあきらめ
るという傾向があり、自分の人生を切り開く勝負どころなのに、これ
でいいのか、という違和感です。
 こんな不安を感じる一方で、感心する部分もあります。それは、と
ても優しい、まじめ、協調性がある(KYでない)、思考は深い、と
いった子が多いということです。
 特に男子の変容ぶりには驚くばかりです。草食系男子とはよく言っ
たものです。それを象徴するエピソードがあります。
 先日、ホテル志望学生10人と牛角に行きました。男子5人、女子5
人です。そこで、男子はせっせと焼き奉行をします。焼き方も上手で
す。一つ一つをミディアムレアにちゃんと焼き、それを女子の皿にせ
っせと運ぶ。女子は、喜々としてその肉を頬張り続けるのです。

 また、こんなこともありました。
 大学4年生とあるイベントの打ち上げをしていたときに、「今の学
生は、海外旅行も、車も、ブランド品にも興味がないらしいえれど、
じゃあ、なににお金を使っているの?」と聞いたところ、答えは、
「貯金してます」と、その場にいた3人が全員口をそろえたのです。
 私の世代は、「学生は自己投資するもの」が当たり前でしたが・・。

 こんな驚くべき事実が、今回紹介する『欲しがらない若者たち』に
はたくさん紹介されています。

1、アフターファイブは家でまったりしたい。
  酒よりはスイーツ。
  酒を飲まない男性の割合は、40代で16%、20代で37%。
  月2回以上アイスクリームを買う20代男子は二人に一人。

2、10年前、最も海外旅行をした年代は20代だが、いまは20代が
  最も海外旅行をしない

3、「今を楽しむよりは将来のために貯蓄する」と答えた20代割合は、
  2000年で22%、2007年で40%と激増。
  若者は、キリギリスからアリに変わってしまった。

4、若者は「恋人より友達といるほうが楽で楽しい」と答える人が
  3人に1人いる。デートのために勝負服を買わない。女性を誘う
  ために車を買うことはしなくなった。
  20代後半の男性で、「デートのためにレストランの予約をしたこ
  とがある」人は3人に一人しかいない

5、経済的に自信が持てないし、将来どうなるか不安定だから結婚
  に踏み切れない。

6、テレビ制作者やコピーライター、弁護士、公認会計士などは人気
  がなく、若者が就きたい職業のナンバーワンは、公務員。

7、大学生に「10年後の自分のイメージ」を聞いたところ、女子学生
  は「バリバリ働いて、週末はぐったりしている」だが、男子学生
  は、「週末は子供と遊んでいる」という回答が目立った

 幸せの価値観が、急速に変化しているのでしょう。物欲が薄れ、内
向きになっている。生まれてから20歳前後になるまでの間、ずっと不
況だった彼らの生活は、不況とはいえそれなりに便利で満たされてい
たのです。欲張らなければ、日常の中の、ささやかな幸せで満足でき
る。そんな大人しいいい子ちゃんなのです。

 経済は人間の欲求の大きさに比例するとも考えられます。
 このような世代がマジョリティになっていく日本では、日本経済、
日本人の物質的な豊かさは低下していくに決まっています。

「これからは、『登山に例えるなら、重要なのは登りよりも下りの歩
き方』」であると。
 著者はあとがきで、このように面白い比喩で日本経済の方向性を紹
介していますが、ごもっともです。

 よく、「いまの若いやつららはだめだ・・・」という意見を耳にし
ます。でも、それでは何も解決しない。世代間の違いは、いつの時代
でもあります。理解しあう努力が必要なのです。
 そのために、本書は最高の指南書であると思います。

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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

『<就活>廃止論』

【送料無料】〈就活〉廃止論

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価格:777円(税込、送料別)




『<就活>廃止論』  佐藤孝治 (著)

 定価:777円
 単行本:240ページ
 出版社: PHP研究所
 発売日:2010/1/16

<概要と読みどころ>

 企業の採用活動と学生の就職活動を支援するジョブウェブの佐藤孝治さんが
書いた就職活動を考える一冊ですが、立場上、自然と教育のことを考えなければ
ならない私にとって、とてもタイムリーで、思考を深化させる一冊でした。
 決してシュウカツだけの話ではなく、日本の教育、雇用などの問題にも踏み込
んだ、本質を突いた意見がまとめられています。

 例えば、

●終身雇用と新卒採用は一体だった。 「終身雇用」と「年功序列」そして
 「新卒一括採用」の3つが「三種の神器」。最初の二つが崩れているいま、
 新卒一括採用という社会習慣も、存在に無理がきている

●これまでは、社会の中において「人を育てる」という機能を企業が引きうけ、
 家庭も本人も大学も、「会社に入りさえすればあとは会社がなんとか社会に
 貢献できる人に育ててくれる」と思っていた。<中略>ところが、企業は、
 「即戦力になるための教育は、もう企業では(できることなら)やりません。
 入社前に自分たちですませてきてください。そういう能力を持っている人を
 優先的に採用しますよ」と言っているのだ。

 つまりは、社会の人材育成機能が構造的な機能不全に陥っている。だれも人材
育成の機能を担っていないのが日本の現状なのですね。

●大学生は、プロになるためのトレーニング不足。暗記我慢大会だけの受験勉強
 だけでは、社会で活躍するための能力を育てることはできない。

●多くの学生は「企業の面接を突破して会社に所属するための活動」として就職
 活動をするが、そうではなくて「社会で活躍するプロフェッショナルになるた
 めの実践的トレーニング」として、シュウカツをとらえると、その学生は見事
 にシュウカツ中に成長する

●シュウカツは生まれた時からスタートしている。
 実質的なシュウカツを始めるタイミングが「ステップ1」だとすると、その前
 の約20年間は、「ステップ0」。ステップ0をどのように歩んできたかで、ス
 テップ1のラインに立った時には、歴然とした開きがある。ちょっと磨けば準
 備完了になる学生に共通する点は、

 1 コミュニケーション能力が高い
 2 自分で考え、主体的に動ける
 3 これが自分の強みであると明言できるものがある
 4 自分なりにこれだけは一生懸命やってきたといえる経験を持っている

●企業が必要とする人材は、「価値を生み出し、利益を上げることに貢献できる人」。
 それをさらにぶれいくダウンすると

 1 何もないところから価値を作り出せる人
 2 その価値を広められる人
 3 コストを下げられる人

 大前提は、「自分の頭で考え、行動できるかどうか」

 教育の使命を集約すると、

 1 自分の頭で考え
 2 主体的に動ける習慣をつけ
 3 コミュニケーション能力を高め
 4 これだけは自信があるというものを持たせてあげ
 5 人と協働しながら新しい価値を創造していける訓練をする

 実に価値のある一冊です。
 就職活動なんて関係ないという人も、読むべき一冊かと思います。

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<オススメ度> ★★★★☆(4.5という意味です 笑)

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

2011年6月6日月曜日

60分間・企業ダントツ化プロジェクト



『60分間・企業ダントツ化プロジェクト
   顧客感情をベースにした戦略構築方』 神田昌典 著

定価:1,680円
単行本:354ページ
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2002/12/7

<概要と読みどころ>

 私の人生やビジネスに最も影響を与えてくれたのは中谷彰宏さんで
あることは間違いない(10数年担当編集者をやらせていただき10数冊
の本を作らせていただきました)のですが、その次に来るのが神田昌
典さんです。お会いしたことはないものの、著書のほとんどを読み、
神田さんの実践マーケティングの考え方や手法はさまざまなプロジェ
クトで活用させていただいております。私を含め、大ファンの人は非
常に多いにも関わらず、知らない人も多いので、今回紹介させていた
だきます。

 今回紹介する『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』は、神田さ
んの集大成ともいえる一冊で、迷ったときに読み返す、私のビジネス
のバイブルです。
 ビジネスの大切な要素を、「商品」「顧客」「競合」「収益シミュ
レーション」「タイミング」「メッセージ」の6つに分け、順番に解
説しています。

 1、商品・・・商品寿命を予測する
        商品のニーズ・ウォンツを考える
        商品コンセプトの伝わりやすさを考える
        商品の広がり・展開力を考える

 2、顧客・・・つきあいたくない客とつきあいたい客を明らかにする
        顧客ターゲットに優先順位をつける
        顧客獲得コストを検討する
        顧客を連れてくる影響力のある顧客は誰か?

 3、競合・・・のんびりした市場をねらう
        顧客視点で競争優位性を分析する
        顧客が感じる価値観を検討する
        参入障壁・撤退障壁を検討する

 4、収益シミュレーション
     ・・・顧客の生涯価値を予測する
 
 5、タイミング
     ・・・バーゲンセール型か、エブリデイ・ロープライス型か
        ワンステップで売るか、ツーステップで売るか

 6、メッセージ
     ・・・ニーズとウォンツの両方を高めていく

 どんなビジネス(ホテルもそうです)でも、この6つを詳細に分析
し対策を打つと、見違えるほどビジネスプランが明快になってきます。

 一つ紹介しましょう。「商品」の章で紹介している「下りのエスカレ
ーターを上ってはいけない」という話です。
 商品やビジネスを選択する人には二パターンある。上りのエスカレー
ターに乗る人と、下りのエスカレーターに乗る人の二パターン。
 上りのエスカレーターに乗る人は、顧客が商品を求めて、向こうから
やってくる。あまり努力をしないでも顧客数が増え、またリピーターも
多くなる。逆に、下りのエスカレーターに乗る人は、こちらから売り込
みに行く。一生懸命、努力をしても顧客がどんどん減っていく。一度、
売ってしまうと後が続かない。
 つまり、商売のコツは、上りのエスカレーターに乗ることであるという
コンセプトです。

 本書には、このような開眼するようなコンセプトがふんだんに、しかも
体系的に紹介されています。

 ホテル経営者、マネジャーが、本書のロジックを理解してより高い
収益率のあるビジネスを展開することを願っています。

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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

ブランド再生工場―間違いだらけのブランディングを正す

【送料無料】ブランド再生工場

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価格:798円(税込、送料別)



『ブランド再生工場―間違いだらけのブランディングを正す』
                       関橋英作 (著)
 定価:798円
 単行本:191ページ
 出版社: 角川SSコミュニケーションズ
 発売日:2008年7月10日

<概要と読みどころ>

 ブランドとはなにか?
 関橋氏は次のように語ります。

 ●ブランドとは、提供者が作り出すものではなく、消費者が自分の
  心の中で育てるもの
 ●ブランドは競合に対する心理的な差別化要因
  競合とは違う「好かれる」個性である
  ブランディングとは、好きになってもらうこと

 関橋氏は、キットカットやハーゲンダッツのブランディング構築の
立役者。キットカットは、ホテルマンならだれもが知っているでしょう、
「きっと、勝つ(博多弁で、「きっと、かっとーー」と言うそうです)」
にかけて、受験のお守りとして認知されました。ハーゲンダッツは、高
価格ということで、大人に食べてもらいたいということで、「大人を幸
せにするアイスクリーム」という打ち出しをして成功させた。

 分かりやすいお話を一つ。

 ブランドには二つの価値がある。
 一つは「機能的価値」。
 もう一つは「情緒的価値」。

 機能的価値は、消費者に対し、「どんないいことをしてあげられるのか」
「どう役に立つのか」。一方の情緒的価値は、「どんないい気持ちにさせ
てくれるのか」ということ。
 で、ブランディングにはこの情緒的価値の訴求が不可欠であるという
ことです。

 マーケティングに興味のある人には、とても面白い本です。

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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

「お客様に真剣」ですか? サービスの合言葉

【送料無料】「お客様に真剣」ですか?

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価格:1,575円(税込、送料別)



『「お客様に真剣」ですか? サービスの合言葉』  高橋滋 (著)

 定価:1155円
 単行本:224ページ
 出版社: かんき出版
 発売日:2009年4月7日

<概要と読みどころ>

 私も文章を書く者の端くれとして仕事をさせてもらっており、記事だ
けでなく、新刊やセミナーのコピーなどをよく書き、その都度、「読み
手の心に響くコトバ」を熟考して、単語を紡ぎます。
 カシータの高橋オーナーとは、カシータ創業以来お付き合いさせて
いただき、弊社でも『I am a man』というロングセラーを出版してい
ただいていますし、講演会も何度もしていただいていますが、その都度
感心させられることがあります。それは、

     「この人は、コトバの天才でなはいか」

ということです。高橋氏が発するコトバの中に、「実にうまいなあ」と
いうキーワードがどんどん出てきます。

 その例を挙げてみましょう。

●ホテルは宿泊業(不動産業)ではなく、サービス業であれ
●お金をいただくことに慣れず、感謝の気持ちを言葉に変えて右足に
 乗せて伝えよう
●日本人は仕事に真剣であることが文化だけれど、お客様に真剣ではない
 ことが多い
●心についたシミは落ちない

 本書のタイトル「お客様に真剣ですか?」は、その最たるものではない
でしょうか。本のタイトルを付けることは編集者にとって最も重要な仕事
ですが、このタイトルほど一言ですべてを語れるタイトルはないと思います。
 そして、サービス業の本質を忘れないキーワードだと思います。

 業務に追われ、作業をこなすことにいっぱいいっぱいになってしまうと、
本来の仕事の目的、つまり「お客様に喜んでもらうこと」を忘れがちにな
ります。こういう状態は、仕事には真剣であっても、お客様には真剣でなく、
サービス業の本質を欠いていることになります。
 本書は、そんな状況にならないために、たくさんの「気づき」与えてくれ
る、優れた一冊です。
 すごいサービスも、残念なサービスも、数限りないサービス体験のエピソ
ードも満載です。
 新年を迎え、新たな気持ちでサービスにあたりたい人にはぜひお勧めです。

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<オススメ度> ★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

『鯨を釣る男 天才ホテリエマイク近藤の生涯』

『鯨を釣る男 天才ホテリエマイク近藤の生涯』 富田昭次氏 著

【送料無料】鯨を釣る男

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価格:1,575円(税込、送料別)



 定価:1575円
 頁数: 237ページ
 出版社:オータパブリケイションズ
 発売日:2006/07

<概要と読みどころ>

 先週の土曜日、立教大学で行なわれたシンポジウム「若者の海外旅行
離れ2:若者よ国境を越えよ」というイベントに参加しました。
 若年層旅行マーケットが減少している原因を探り、どうしたら増やす
ことができるのかを考える集まりでした。
 このシンポジウムやその後の懇親会で多くの学生さんと話をして気付
いたことは、問題は海外旅行の魅力が減少したことではなく、しんどい
けれど成長のために海外旅行をする人が減っていることにあるのではな
いかということです。

「一回きりの人生、全力で生きて何かを成し遂げて死にたい」と考える
若者が減り、自分らしく生き、ささやかな幸せを感じながら一生を終える
ことを望む若者が増えているのです。
 観光を学ぶ学生でも、長時間労働しても給与の安い旅行業やホテル業を
避け、9時ー5時で働くOLを選択する人もいました。自己投資よりは、
老後のための貯金を学生のうちからしている人もいます。

 自分らしく生き、ささやかな幸せを感じながら一生を終える生き方。
 生き方は人それぞれですから私は非難しません。でも、多くの人がこの
ように内向きに生きて、アウトプット(世の中への価値提供)をしなくな
ったら、いまの日本の豊かさは一気に消え、ささやかな幸せすら享受でき
なくなります。国境を乗り越え、世界に出てガツガツやっているアジアの
人たちに席巻されて、日本は一気に経済的支配を受けるのではないかと危
惧します。

 日本は、80年代に経済大国として世界に名を轟かせ、大活躍しました。
いまは、一億総老人化状態です。老人には老人なりの、ゆったりとして落
ち着いた生き方があるのかもしれません。だから、「元気な日本を取り戻
そう」というスローガンにはちと違和感を覚えます。「はたして日本が目
指すべき姿は、“元気な国”なのか」と。

日本が目指すべきカタチはどんなのか?
これが、ホテル業界の人材危機と同じくらい今年考えた疑問です。

 ホテリエという職業に情熱をささげる若者が減少し、大志を語ってくれる
若者が少なくなった日本を憂うとき、私はいつも、近藤マイク誠氏を思い出
します。米国のホテルで無給の皿洗いからホテルマン人生をスタート。28歳
で、世界に750ものホテルを運営するスターウッドの次長に就任。30歳で部
長、米国ホテル業界でスピード出世をし続けた後、凱旋帰国し、宮崎のシーガ
イアに営業本部長として再建に奔走し、32歳で夭折した伝説のホテリエです。

 今回紹介する『鯨を釣る男 天才ホテリエマイク近藤の生涯』は、文字通り
ホテル業界の発展に命をかけたマイク氏の生涯を一冊の本として残したいと
思って私が編集担当者としてかかわり、富田昭次氏に取材・執筆いただいた
ものです。
 
 安穏と、ただ自分の楽しみだけのために生きている若者に、情熱的に生き、
周りの人も燃え上がらせて大きなことを成し遂げようとした、短いけれど濃く
価値の大きなマイク氏の生き方、人生を知ってほしい。ホテルとは、お金だけ
でなない魅力が詰まっている職場であることを知ってほしい。

 そう考えて、手前みそながら本書を紹介させていただきました。

 マイクさんが動き、語る5分間のフィルムがあります。
 シーガイアで執り行われたお別れの会で流れたものです。
 http://www.youtube.com/watch?v=mUJefGLtpkI

 Tell me what you dream.

 マイクさんは、ヴィデオの中で堂々と夢を語っています。
 ぜひ、ご覧ください。

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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない