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2011年6月7日火曜日

書評『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』




『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』 佐藤可士和・著

 定価:1575円
 頁数:192ページ
 出版社:日本経済新聞出版社
 発売日: 2010/6/26

<概要と読みどころ>

 私は以前に『佐藤可士和の超整理術』を読み、さまざま気づきを得、
それ以来、佐藤可士和さんのファンになったのですが、その第二弾が本
書です。
 前作は、絡んだ糸をほどくがごとく事象や考えを整理し、本質に迫り、
ある視点を導入することによって問題を解決し、あるべき姿を浮かび上
がらせる。このアートディレクター佐藤可士和流の整理術(問題解決力)
を紹介した素晴らしい一冊でした。
 今度の新刊は、整理や問題解決に留まらず、佐藤可士和さんの創造的
思考法を紹介したものです。
 冒頭で、「既成概念、前提を疑う」ことを提唱」しています。
 前提を疑うことで物事は変化、進化します。既成概念を疑ってきた
積み重ねがアートの歴史だと(その意味では、ホテルの現場において
新人が「これはなぜ、このようなやり方をするのですか?」とか、「こう
いうやり方の方が効率が上がると思います」といった提案をすると、
「そんなこと考えてないで、黙って体を動かせ!」と叱責することがよく
ありますが、その発言こそ、ホテル業界の発展を阻害している大きな要因
だと思いますが、いかがでしょうか)。
 その他、「迷ったら書き出してみる」、「プレゼンテーションは説得では
なく、共感を得る場」、「ばらばらなコンテンツは、コンテクスト(文脈)
を作ることによって分かりやすいストーリーにする」、「コンセプトの軸を
ブラさないことで強いチームを作る」といった仕事術を多数紹介しています。
 また、その仕事術の使い方、落とし込みの方法を、生み出されたプロダク
トやブランディングの事例を紹介することによって解説していますので、実
践的でもあります(『星野リゾートの教科書』では、星野社長が愛読してい
るビジネス書の知恵をいかに変革に使ったかの事例ですが、本書は、佐藤可
士和さんの創造的思考術の活用事例を紹介しているのですね)。
 自分のホテルは、伝統や古くからの仕来たり重視のために頭が硬直してい
るとお感じの方も多いかと思いますが、ぜひクリエイティブ思考法を取り入
れて、変革や進化を進めてみてはいかがでしょうか。

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<オススメ度> ★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない

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