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2011年7月29日金曜日

書評『ホテル王になろう 人を喜ばせる天才たち』

ホテル王になろう

ホテル王になろう
価格:1,470円(税込、送料別)



ホテル王になろう 人を喜ばせる天才たち
中谷彰宏
オータパブリケイションズ
1,470円(税込)

 本書は1997年に出版された伝説的なホテル本。
 ベルキャプテンから始まり、ドアマン、コンシェルジュ、ソムリエ、バーテンダー、シェフ、総支配人まで、23人のホテルマンをインタビューし、それぞれの仕事観、仕事内容、人生を中谷彰宏氏が紹介している。
 ホテルの仕事の魅力、奥深さ、やりがいなどを感じることができる。
 5万部を超えるロングセラーになった。

 実は、本書は、私が始めて中谷彰宏さんと作らせていただいた一冊です。

 当初、『ホテル業界就職ガイド』の企画がヒットし、次に、だれでも短時間でホテル業界の概要を把握できる本として、『3時間でわかるホテル業界』という新刊企画を立てました。それをだれに書いてもらうかを考えていたときに、私の上司は、章ごとに違う方に担当してもらって構成しようということになったのです。
 そのうちのひとりが中谷さんだったのですが、中谷さんにお願いしにいったら、「ほかの人に気を使いながら書くのは大変なので、自分ひとりでやりましょう」といっていただいたのです。
 で、一週間後に中谷さんから送られて来たファックスの企画が、この「ホテル王になろう」でした。

 本書は大ヒット。確か7回くらい増刷を重ねました。

 職人的ホテルマンが、輝きを放っていた時代の、美しい一冊です。


ホテル王になろう

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<オススメ度> ★★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない


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2011年7月19日火曜日

書評『日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人』



日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人
怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!
三輪康子/著 発売日:2011/07

 先日、神田昌典さんのメルマガに、こんなフレーズがありました。
 「お客様は、品質に文句があるときではなく、自分が大切​にされていないと感じる時に、クレームを言う」
 まさに、真理を突いた一言であり、自分がお客様を大切にしなかったことがあったかどうか、自戒する機会ともなりました。

 今回紹介する本は、この一言をさらに考えさせるものでした。

 著者は、ホテルの女性支配人です。
 それが、ただのホテルではありません。
 日本一のクレーマー地帯であり、ヤクザが横行する歌舞伎町のホテルです。
 そのホテルにおいて、どんなにすごいクレームや嫌がらせにも逃げずに対峙し、お客様からも、ヤクザさんからも愛され、スタッフからも愛されて、しかもグループホテルで日本一の売上店にした方です。
 警察からは“歌舞伎町のジャンヌ・ダルク”と呼ばれています。

 ものすごく強い方です。
 そして、心の底から、人を愛する力を持っている方。

 「相手が怒っていたら、やさしさで返すことです」

 とおっしゃっています。「クレーム対応とは、クレームにではなく、人に対応することです。まず、全力で相手の気持ちを理解することです」とおっしゃいます。「怒りの原因をすべて出し切ってもらう」。「お金で解決することは、問題の解決ではなく、問題の放棄です」。

 たった一人の一つのクレームに対してとことん付き合うことが、次のクレームをなくし、ほかの人のクレームもなくす。

 どうして、この方は、ここまで強くいられるのでしょうか。
 根底には、「人を信じる力」があり、やさしさは何よりも「強い」といいます。
 どんなにひどいことをされても、その人を憎まない強さがあります。

 そして、「人の気持ちを救う」ことができるホテルの仕事を愛しています。

 一気に読んでしまいましたが、読後、興奮と一緒に考えていることは、ひとつ。
 すぐに会いに行って、宿屋塾の講演をお願いすることです。
 
 まだ、世間的には無名の方でしょうが、間違いなく、すぐに有名になっていく方だと思います。
 その処女作である本書は、ホテル業界人には必読の一冊です。

日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人 怒鳴られたら、やさしさを一...
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<オススメ度> ★★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
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   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない


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2011年7月15日金曜日

書評『リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間』



リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間
高野登
かんき出版
1,575円(税込)


 元リッツ・カールトン日本支社長の高野登さんの処女作です。
 20万部以上売れたベストセラーです。
 ホテル業界の本で、史上最も売れた本かもしれません。

 マニュアル通りの仕事はサービス。
 マニュアルを超えたところでする仕事がホスピタリティ。
 ホスピタリティとは、お客様に愛情を示すこと。

 サービスって、機械が代行できるけれど、ホスピタリティは
やっぱり「人」しかできませんよね。

 それこそ、接客業のだいご味。
 サービスを超えた瞬間こそ、この仕事のおもしろさであると
いうことを分からせてくれる一冊です。


リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間



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<オススメ度> ★★★★★
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
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2011年7月6日水曜日

書評『戦わない経営』

【送料無料】戦わない経営

【送料無料】戦わない経営
価格:1,260円(税込、送料別)




『戦わない経営』
 浜口隆則
 かんき出版
 レビューを見る(7件)

 1,260円(税込)

 本というのは基本、一人一冊しか消費しないものです。
 これが出版マーケティングの一つのキーになっているのですが、ときに私は複数冊購入することがあります。
 それは、人に上げたいとき。
 本書ほど、私は人にプレゼントしている本はありません。
 おそらく5冊は買っていると思います。
 そのくらい、素敵な本。

 言いたいことは「経営とはかかわる全ての人を幸せにする仕組み」ということです。
 「競争」ではなく「共創」
 「幸せは分け放題」
 「人生と仕事と経営と幸せはつながっている」
 など、ポエムのような感覚で珠玉のフレーズが紹介されています。

 著者の浜口さんから、本書のフレーズが書かれたポストカードをもらいました。
 その一つは、私の書斎机の前に、貼り付けて毎日見ています。

       優秀な会社でもなく
       強い会社でもなく
 
       愛される会社

 宿屋大学は、ホテル業界から愛される会社を目指しています。


戦わない経営

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<オススメ度> ★★★★★ ← 文句なく!
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
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2011年7月4日月曜日

書評 『脱「コモディティ化」の競争戦略』



脱「コモディティ化」の競争戦略
リチャ-ド・A.ダベニ-/東方雅美
中央経済社
1,890円(税込)


 宿泊特化型ホテルの差別化を考えていたときに出合った本です。
 基本的な機能さえあれば、消費者は安いほうを選ぶ。このような商品のことを「コモディティ商品」というそうです。例えば、ビニール傘、例えば、メモに使うノートなど。つまりは、100円ショップで売られているようなモノはすべてコモディティ商品になりうるものなのかもしれません。
 そして、宿泊特化型ホテルも、実は「コモディティ商品」なのだということが分かったのです。安全、安心、清潔、安眠が約束されていて、立地が良ければ、安いホテルをお客様は選ぶ。顧客満足を提供しただけでは、価格コンシャスなホテルに勝てないということです。

 著者は、この「コモディティ商品」を10年以上、30業種以上にわたって研究してきた米国の教授です。
 コモディティ化するのには、①安物化、②乱立、③加熱という3つのパターンがある。コモディティ化にはまってしまった企業は、この3パターンのどれにはまっているのかを探り、その罠から、①罠から逃れる、②罠を破壊する、③罠を利用するかして、コモディティ化を回避する。その方法論が書かれています。

 ホテル業界は、「乱立の罠」に入っており、マリオット、IHG、スターウッド、ヒルトンなどのホテル企業が、どのように罠から脱しようとしているのかも、詳しく紹介されています。

 さて、日本の宿泊特化型ホテルはどうか?
 おそらく「乱立の罠」にはまっている状態でしょう。
 例えば、築数十年のビジネスホテルが、振興チェーンに包囲されてしまった場合、どう対処したらいいのか。本書の122ページにこうあります。

「『価格とベネフィット』のマップ上にホワイトスペース(空白の場所)を見つける、あるいは、飽和した古い市場に代わる新たな成長分野を見つけ、脅威となる相手に対処する」

 ホワイトスペースは、現在の基本ベネフィットを理解し、明確にすることによって見つけられる。基本ベネフィットは、いくつかの要素の組み合わせである場合が多いから、要素の組み合わせを変えたり、要素の中身を変えたりするといい。

 もうひとつ、興味深いことが書かれています。
 スターウッドの元CEOであるスティーブ・ヘイヤー氏の言葉です。

「人口統計でのセグメンテーションでは、お客様が何を価値ある経験と認めているかが分かりません。当社では、お客様の感情をもとにセグメンテーションをしています。つまり、お客様がそれぞれどのように感じたいと思っているかです」

 スターウッドが、Wホテルを開発した時の考え方だそうです。Wはライフスタイルホテルとして、「宿泊するホテルの選択によって自己表現したい顧客をターゲットにした」そうです。

 この辺にヒントがあるのではないでしょうか?
 価格競争から脱したいホテルの方は、必読の書です。
 
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<オススメ度> ★★★★★ ← 文句なく!
 
 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
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『脱「コモディティ化」の競争戦略』

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