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2011年6月7日火曜日

書評『小説 上杉鷹山』

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『小説 上杉鷹山』 童門冬二 /著

 952円+税
 文庫: 684ページ
 出版社: 集英社 (1996/12)

<概要と読みどころ>

 アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディ、ビル・クリントンが、
日本人の政治家の中で一番尊敬している人物として上げる歴史上の
人物、それが上杉鷹山(うえすぎようざん)です。
 日本史の知識が著しく弱い私は、昨年末、複数回この人物の名前
を続けて聞くまで、ほとんど知らなかった人物なのですが、立て続け
に同じ人の名前を耳にし、運命を感じ(?)、早速伝記を買って年末
年始の休みに読んでみたのでした。
 
 上杉家は上杉謙信を祖先に持つ名家。鷹山は、日向国高鍋藩から養
子として送られ、わずか17歳のときに藩主になりました。しかし、そ
のときの米沢藩の財政は最悪で、廃藩寸前だったそうです。
 小説のストーリーは、新藩主に就任した鷹山が、藩の中で異端扱い
されている家来を抜擢し、家老として胡坐をかき、偉ぶっているだけ
でちっとも仕事をしない重役連中と対立しながらも、率先垂範で徹底
的な倹約を行ない、土を耕し、産業を興し、学校を作って未来の人材
を育成し、民政事業を行っていき、みるみる豊かな藩に変革していく
模様を描いています。
 鷹山の行なった変革の方法ですが、今の企業経営にも相当使える方
法ばかりなのです。
 例えば変革のスタート時、まず、藩主として何がやりたいのかを藩
全体に告げるのです(つまり、ヴィジョンを明確にして組織に浸透さ
せる)。次に、何ができるか、どこまでできるかを率直に伝え(つま
り、ガラス張りにする)、最後に、手をついて、藩士全員に協力を仰
ぎ、自分お足らないところをみんなで補って欲しいと頼むのです。
 ビジネスや組織の変革にはよく「清濁併せ持つ」ということを言い
ますが、鷹山は、その「濁」の部分、つまり汚い手は一切使わず、清
い政治を貫いて改革を進めていくのですが、徐々にその姿勢が藩士そ
して藩全体にいきわたり、意識が変わっていく・・・、この様子が様
々なエピソードで語られていく部分は、感動ものです。
 例えば、藩校を作る際、財政難で資金がないところ藩士や民衆が家
宝を質に入れてお金を作り寄付をするのです。また、鷹山以前は、
「民は、搾れば搾るだけ油が摂れる菜種のようなもの」という考えで
死なぬように生きぬように扱っていたところを、「民は国の宝」とし
て領民を人間として尊び、民のための藩政を行なった。そうやって変
革の火種が藩全体に広がっていく・・。老人や女、子供、身体の不自
由な人などをいたわるようにという教えを広め、そのような気風が人
々に伝播していく。変革とは意識を変えること、自分自身を変えるこ
とということを具現化していったのです。
 感動しつつ、リーダーとはこうあるべきという勉強になる一冊です。

鷹山は、有名な言葉を残しています。
それがこれです。

   「なせばなる なさねば成らぬ 何事も
                成らぬは人の なさぬなりけり」

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<オススメ度> ★★★★★

 (評価の見方)
   ★★★★★・・・一年に出遭うか出遭わないかの最高傑作
   ★★★★ ・・・ぜひ、みなさんにも読んでほしい一冊
   ★★★  ・・・おススメ!
   ★★   ・・・まあまあ、おススメ
   ★    ・・・読んで損はない
   星なし  ・・・時間とお金のムダ

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